横浜赤レンガ倉庫1号館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)では、世界的な振付コンクールの日本プラットフォームとして 1996 年にはじまった「横浜ダンスコレクション」をはじめ多様なダンス事業を展開し、2002 年の開館以来、ダンスアーティストの活動環境の向上と舞踊をはじめとする舞台芸術の振興に取り組んでいます。昨年に発表した新たな振付家制度では、12月から公募を開始、60名のエントリーから一次選考(書類選考)と二次選考(6名の審査員との面談)を経て、この度、梅田宏明(うめだひろあき)氏が横浜赤レンガ倉庫1号館の振付家に決定しました。選考は、創造性、実現性、影響力、社会性、地域性、国際性の6つの視点で行われ、現代社会と舞台芸術の関係についての課題意識に基づき、独自の振付言語を持って国内外で広く活躍していること、また、横浜を拠点とした創造、上演、教育普及・社会包摂、アーカイブの4つの取組を有機的につなぐ活動プランが高く評価されました。

撮影:S20

 

梅田宏明氏は2002年の「横浜ダンスコレクション」での上演作が評価され、ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ(フランス)での上演を果たしたことにより、以降世界40ヵ国・150都市以上で活躍。作品創作では振付、ダンスだけでなくサウンド・映像・照明デザインも手がけ、近年は身体的感覚にフォーカスするインスタレーションを制作して世界各地のフェスティバル等で上映しています。今後、2022年4月からの活動開始に向けて、実践的な活動プログラムの策定にあたりますが、様々な対話機会に参加して横浜の文化拠点や地域との協働関係を深めながら、舞踊をはじめ舞台芸術の価値を社会に開いていく展開を目指します。

■活動期間
2022 年 4 月 1 日から 2024 年 3 月 31 日までの 2 年間

■主な活動内容
次の4つの活動をベースに、横浜の文化拠点や関係者、当館の専門人材等との対話により2年間の活動内容を構成します。
①  創造活動・・・当館施設や横浜市内の連携施設を活用してリサーチや創作を行う
② 上演活動・・・過去上演作の再創作や新作の上演
③ 教育普及・社会包摂活動・・・市民、学生、子ども、高齢者、若手振付家等対象の活動
④ アーカイブ・・・上記の活動を中心とした記録・公開

 

■審査員
石井達朗(舞踊評論家、慶応大学名誉教授) 堀内真人(KAAT神奈川芸術劇場事業部長)
蔵屋美香(横浜美術館館長) 新井鷗子(横浜みなとみらいホール館長)
布目英一(横浜にぎわい座館長) 小野晋司(横浜赤レンガ倉庫1号館館長)

 

横浜赤レンガ倉庫1号館 振付家

Photo:Tarumi Aya

梅田宏明
振付家、ダンサー、ビジュアル・アーティスト。
2002年の「横浜ダンスコレクション」で発表した『while going to a condition』が高く評価され、フランスのランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニに招聘される。以後、パリのシャイヨー国立劇場共同制作『Accumulated Layout』や、YCAM共同制作作品『Holistic Strata』等、ソロ新作群が旧作と共に世界のフェスティバルや劇場より招聘され、これまでの公演先は世界40ヵ国/150都市以上に上る。また、委託振付作品もヨーテボリ・オペラ・ダンスカンパニーやL.A. Dance Project等に提供している。近年は錯視と身体的没入感覚にフォーカスしたインスタレーション作品も制作。2018年には、映像作品が21_21 DESIGH SIGHTやNTT InterCommunication Center [ICC]で展示されたほか、ダンス作品を元に制作されたドーム型映像作品も世界各地のフェスティバルで上映されている。2014年には日本の若⼿ダンサーの育成と自身のムーブメントメソッドの発展を目的として「Somatic Field Project」を立上げ、ワークショップや振付作品の制作等も行っている。また2017 年には日本のコンテンポラリーダンスシーンの活性化と成熟の⼀助になることを目指し「振付家ワークショップ」を開始している。

ー 主な活動実績・上演歴 ー
【海外】(抜粋)
2002年より、世界40ヵ国/150都市以上、延べ300以上の舞台・⾳楽・テクノロジーアート関係の劇場やフェスティバルにて公演を行っている。公演先に、LʼOpera Bastille、Maison de la danse、Theatre national de Chaillot(以上フランス)、Sydney Opera House(オーストラリア)など。

 

【国内】(抜粋)
2002年 横浜ダンスコレクション (while going to a condition)
2008年 新国立劇場(Accumulated Layout)
2010/13年 あいちトリエンナーレ(Haptic, Adapting for Distortion, Holistic Strata)
2011年 山口情報芸術センター[YCAM](Holistic Strata)
2018/19年 あうるすぽっと(主催公演、Intensional Particle, Holistic Strataその他振付作品)

 

ー 受賞歴 ー
2010年 アルスエレクトロニカ(オーストリア)デジタルミュージック・サウンドアート部門入賞
2016年 Fulldome Festival(ドイツ)Frameless Frenzy賞受賞
2018年 Immersive Film Festival(ポルトガル)Best Immersion賞受賞